梅毒です。撲滅寸前までいった過去の病気が、今は猛威を奮っています。。。

性感染症

院長の太郎です。

2019年11月30日から行われた性感染症学会のまとめが滞っていますね!
続けていきます。

本日は梅毒です。一時期本当に減ったのですが、今ものすごい勢いで増えているんです。48年ぶりに患者数が6千人を超えたとのことでした。
出会い系アプリが原因?との意見が出ているそうです。

梅毒トレポネーマが感染源です。早期梅毒は感染から1年未満、後期梅毒は感染から1年以上経過している場合を指します。

病原体診断について
分離培養は成功していないです。
病原体の検出として暗視野法が用いられ、他に核酸増幅法(PCR)も行われます。
PCRは様々な感染症で用いられるよい検査ですが、梅毒では検出感度が良くないこともわかっています。94例の患者さんで梅毒を疑う症状はあるものの、抗体反応は陰性だったときにPCR検査を行った研究がありますが、54例が陽性で40例は陰性でした。しかし陰性のうち22例がその後抗体陽性になったとのことです。陰性の結果のうちの半分以上が偽陰性だったということですね。
検体の質の問題が指摘されており、習熟した医師が検体採取すべきと言われています。抗体が陽性になる前にわかる利点がありますが、陰性だからといって梅毒ではないと言い切れない検査は実用的ではないですね。。。

実際には血清診断が用いられています。
①脂質抗原法(カルジオリピンを抗原にします。)
②TP抗原法

この2つを調べて、結果は4通りありますが、それぞれ見方が違います。
倍数希釈法は定性検査、自動化法は定量検査で、客観的なのは自動化法のためこちらが推奨されています。
①②ともに陽性:梅毒
①は陽性で②は陰性:初期感染??
①は陰性で②が陽性:既感染(昔罹患したことがあるが現在は治っている)
①②ともに陰性:陰性、偽陰性?

2018年の梅毒ガイドラインではフォローアップは4週間おきを推奨していて、脂質抗原陽性の場合は、自動化法で1/2、2倍希釈法で1/4に低下していれば治癒、としています。

神経梅毒とは中枢神経に梅毒トレポネーマの浸潤があることです。通常感染から時間がたたないと浸潤してきませんが、HIV感染者では早期神経梅毒になることがあります。
診断には脳脊髄液検査を行います。神経症状や眼症状のある場合と活動性のある後期梅毒ではこの検査を考慮します。

治療はベンジルペニシリンカリウム200万-400万単位を6回/日点滴、もしくは筋注です。内服治療では20%失敗がありますが、これは患者さんがきちんと内服していないことが原因になるそうです。
*ガイドラインでは内服治療が第一選択です。きちんと内服することが重要ですね。

海外で一般的なペニシリンGの筋注単回投与が今後日本でも導入になるかもしれません。

後期梅毒ではバイシリンG40万単位3回/日もしくはアモキシシリン・アミノベンジルペニシリン500mg3回/日を8-12週内服することとされていますが、明確なエビデンスがあるわけではないそうです。検査で数値が下がってくることを注意深く観察することが必要です。

次回はマイコプラズマ・ジェニタリウムです。

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