尖圭コンジローマ!陰部周囲にできる難治性のイボイボですが、今はワクチンで予防できちゃいます!

性感染症

院長の太郎です。また2019年性感染症学会で学んだ内容をご紹介します。

尖圭コンジローマについてです。外陰部に限らず、皮膚や肛門周囲、尿道や膣内、喉!なんてところにも悲
セックスで接触する部分に腫瘤ができるのです。鶏のトサカ状と表現されます。
放っておくとどんどん大きく、広い範囲に広がるし、治療してもまた再発してくるしで、かなり厄介なんですね。

ただし!いまはワクチンがあります!

実際他の性感染症と比べて、コンジローマの治療学は進歩していません。凍らせて、焼灼してウイルスを焼き殺す、または免疫を活発にさせる塗り薬で失活させるという治療法は長らく変化がないのです。

実は海外ではHPVのワクチンがかなり一般的になってきています。ワクチンが普及すればコンジローマになる人がいなくなるので、治療を研究する意味がない、という考え方になってきているそうです笑

コンジローマの原因はウイルスで、ヒトパピローマウイルス(Human Papilloma virus:HPV)といいます。女性は聞いたことがあるかもしれないです。子宮頸がんの原因になるウイルスと同じものなのです。
ただしHPVには様々な型があり、コンジローマになるのはHPV6型とHPV11型です。
これらのウイルスは皮膚型です。
他に多くの粘膜型のウイルスがいるのですが、これらはコンジローマのようなわかりやすい病変を作らない代わりに、子宮頸部の細胞に作用して、長い年月の間に癌化させてしまうのです。

HPVの90%以上はHPV6型か11型です。
年間3万9千人が罹患し、男性は18400人、女性は20800人だそうです(何年、どこの集計かは聞きそびれましたすみません、多分近年日本です)。
パートナー感染が75%以上です。

皮膚型はコンジローマなどになり、粘膜型(ハイリスクHPVといいます)は癌の原因になります。こちらはinfection感染ではありますが、diease疾患ではない、ということです。検査しないと気づかず、時間が立つと子宮頸がんというdisease疾患になってしまいます。。。

ワクチンで予防可能!男性でもメリットはあります!コンジローマにならなくなるし、自分を媒介にして愛するパートナーにハイリスクHPVを感染させることがなくなります。

女性は20歳台がピーク、男性は30歳代がピークです。

コンジローマ患者さんは不安が大きいことがわかっています。
・恥ずかしい26%
・子宮頸がんリスク22%
・再発36%
・他人への感染37%
・治療の痛み27%
・治療の有効性17%

HPV感染の仕組みですが、上皮(いわゆる普通の皮膚)はかなり感染の防御として働きます。基本は小さなキズから入り込みます。ただし、女性の膣内に露出しているTransfarmation Zoneは感染に弱く、女性は感染しやすいです。

コンジローマが自然になくなることもあります。もしくは皮膚型HPVに感染してもコンジローマにならないこともあります。

感染すると免疫が働きます。そうすると活発に働いているHPVを抑え込むので、見た目は改善します。もしくは最初から出現することを抑えます。
ただしこれは潜伏状態になっているだけかもしれないのです。ステロイド治療やHIVに感染して免疫機能が低下すると、また再発することがあります。

子宮粘膜のHPV陽性になったときの9割は自然と陰性になります。そこから再度検査で陽性になった場合は、新たなHPVに感染したのではなく再活性している可能性があるのです。
尖圭コンジローマの発症は感染者の1/4だそうです。

ただし、上記の潜伏状態なのか、本当にいないのかをしらべる診断キットはありません。ウイルスはいるのに症状がない状態はわからないということです。
コンジローマの診断は視診のみ、ということです。

最初にお伝えしたとおり、形態は鶏冠状と表現されます。これは皮膚からの出っ張りは1つで、その先で放射状に広がっているということです。根っこは一つということです。
似たように見えるもので、女性の外陰部にできる膣前庭部乳頭腫があります。自分は婦人科ではないのであまり診察する機会はないのですが、クリトリスの周囲などに左右均等に絨毛のように細かい凸凹が出現することです。乳頭、と名前がある通り、細かいのですがこちらは1本1本が根本の皮膚から出てきていて枝分かれしていません。ホルモンの影響によるもので、妊娠すると出現することがありますが心配いりません。

3ヶ月後の再発率
・凍結37.5%
・レーザー33%
・焼灼18%
・外科的切除18%
・イミキモドクリーム13%

イミキモドクリーム(ベセルナクリーム®)はあくまで免疫賦活剤です。ウイルスを殺すのではなく、免疫を強くして抑え込む治療になりますので効果を実感するのには時間がかかります。
完全消失までの中央値は8.1週で、最大16週間かかります。
免疫応答が起こる時間の個人差によるものと、このクリームは洗い流すタイミングなどが決まっているのですが、それをどれだけ守って塗布できているかにも関わります。
8週間までに治る人はスムーズに治ります。
それ以上かかって治る場合の治り方は様々で、1回悪化してから治ることもあります。
正常な皮膚に紅斑ができたりすることもあり、なかなか治療継続をできずに終わる方が多いのですが、休薬しながら継続することが大切です。

ワクチンを摂取すれば絶対かからなくなります。ただし罹ってしまっている場合はそのウイルスを消すことはできませんので、初感染するまえ、セックスをする前に摂取することが望まれます。
日本では現在ワクチン接種義務がなくなりました。
カリフォルニアでのHPVワクチン接種率は5割ですが、コンジローマは五年経って有意に減少してきていることが証明されています。

コンジローマのある方が妊娠すると、症状はわるくなります。これは妊娠による免疫抑制で起こります。

産道感染として、再発性呼吸器乳頭腫症というものがあります。呼吸で空気の通り道にコンジローマの腫瘤が多発性、再発性に出現し、かなり生活の質が低下します。
ある研究では、コンジローマありの母親からは1/145、コンジローマなしの母親からは0.003/100の出現率だったとの報告があります。
コンジローマの母親が帝王切開を選択することはガイドラインには記載がないそうですが、メリットはあるのかも?とのことでした。

ワクチンについては別の講演も聞きましたので、また別にまとめます。

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