淋病!淋菌感染症です。尿道から黄色い膿が出てきて痛いときに疑います

性感染症

院長の太郎です。

2019年日本性感染症学会の冒頭、「今更聞けない性感染症」ってセミナーから開始しまして、そのまとめもいよいよ淋菌になります。

淋病って有名ですね。潜伏期が2−7日と短くて、尿道から濃い膿がダラダラ出てくるわ、排尿する時に尿道に灼熱の棒を突っ込まれたような!?痛みがあるのが特徴的です笑
そこまで痛くならない人もいますが、結構痛いです。
潜伏期も短くて症状ががっちりあるので、あのときのあの女性かーーとか、あの店のときかーーとか、患者さんが感染の機会をよく覚えていることが多いです。

ただし喉につくこともあり、このときには症状はほぼないことが多いので、油断はできません。

では以下がまとめです。

淋病は淋菌が原因菌です。Neiseriaナイセリア目ナイセリア属に属していて、ナイセリア属の菌はほとんどが口腔内常在菌です。
淋菌と、髄膜炎の原因になる髄膜炎菌が例外で、この2菌のみ病原性があります。

グラム陰性双球菌です。これは顕微鏡で細菌を見るときの分類法ですね。特徴的なので、顕微鏡で診断できるということです。
培養検査では3-7%CO2培地で35-37度の湿潤環境でなければ育ちません。尿や膿を培養検査に出すときは、冷蔵保存できないのです。
DNA検査を行うときは冷やしても大丈夫です。

尿道炎
子宮頸管炎
咽頭感染 咽頭炎
骨盤内炎症
粘膜炎
直腸炎
播種性淋菌

これらの原因となります。

尿道炎と子宮頸管炎は2-7日の潜伏期で症状は強いです。
喉についても咽頭炎になることはまれで、ただ淋菌が喉に住み着いている状態になっているのです。症状がないから気づかずに感染源になります。尿道炎の3割は咽頭も陽性になりますので、尿道炎の治療のときには咽頭も意識した治療方法が必要になります。

感染者は減ってはいません。横ばいです。

検査方法は
鏡検法(顕微鏡で覗く検査です)
培養法
PCR
MALDI-TOF MS

などがあります。
慣れていれば尿道分泌物を顕微鏡で覗くのが最も早いです。
PCRで遺伝子を調べる検査はクラミジアも調べることができるのがメリットです。淋病の2−3割は重複感染しています。

治療は
SPCM、CTRXの2剤がまだ使用できます。

淋菌は抗菌薬の耐性ができるのがものすごく早いです。
以前は使用できていたLVFXは耐性ができていますが、実は最近すこし耐性率は低下しているそうです(安心して使用できるレベルではありません)。
アジスロマイシンも耐性化が進んでいます。この薬はクラミジアには第一選択なので、淋菌でも効果があれば尿道炎の治療は楽だったのに残念です。

CDCは最もリスクが高い、WHOもプライオリティー2に認定しているほど、淋菌は今後治療不可能になる可能性のある感染症と考えられています。

咽頭にはSPCMスペクチノマイシンは移行性が低いため、実際治療はCTRXセフトリアキソン一択です。
新しい薬も開発が進んでいるところです。
LVFXレボフロキサシンは耐性化が進んでいますが、3-4割で聞く場合があり、今後薬剤感受性が素早くわかるようになると使用する機会が増えそうです。

次回は梅毒をまとめます。

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