男子尿道炎!!セックスで伝染ることがおおいです
2019/12/24
院長の太郎です。
2019年11月30日の日本性感染症学会まとめ、前回までが各原因ごとのまとめでしたが、今回は疾患からみたまとめになります。
男子尿道炎での講義がありました。
尿道とは膀胱からペニスの先端の尿道口をつなぐ、尿の通り道です。
以下は講義のまとめです。
女性ではクラミジアが原因になることが多いですが、男性では淋菌・クラミジア・非淋非クラミジアが多いとのこと。
全部じゃん笑って思いますね。
一昔前、淋菌とクラミジアが尿道炎の2大巨頭でしたが、マイコプラズマのところでまとめたとおり、最近では淋菌・クラミジア以外の原因菌も増えているのでこのようなまとめになったのだと思います。
ではまとめを続けます。
自覚症状は尿道のかゆみと分泌物で、診断基準はそれら自覚症状があるか?と尿に炎症細胞(白血球)がでているかどうかです。
男性と女性の尿道の違い、これは見たまんまですが、男性はペニスがある分尿道が長いです。女性は短い。
つまり男性は外から膀胱まで距離があるので、その手前の尿道の炎症になることがあってもあまり膀胱の炎症である膀胱炎にはなりにくいです。女性は反対で、尿道炎は少なく膀胱炎は多いです。
以下は講義をしてくださった先生のクリニックの統計でしたが、
尿道炎の原因として
淋菌30%、そのうちの30%はクラミジアとの混合感染
非淋菌は70%、そのうちクラミジアは33%で非淋非クラミジアは37%
マイコプラズマ・ジェニタリウムは尿道炎の14%で、非淋菌性の16%、非淋非クラミジアの20%
髄膜炎菌は1%、肺炎球菌は0.2%、アデノウイルス6%
トリコモナスは全尿道炎の1%です。ニトロイミダゾール系の治療薬が有効です。
かなり頻度が低いものを入れると、ウイルス、細菌、原虫と原因は様々で、治療もそれぞれです。
診断するためには
・性感染症の経験(再発するもの、生活歴によってかかりやすいものがある)
・性的指向(例えば異性とのセックスと同性とのセックスではかかりやすいSTIの種類頻度が変わる)
・直近のセックス歴(潜伏期の判断)
・症状、排尿痛の程度(症状である程度あたりをつけられる)
・発症時期(これも心当たりのあるセックスから聴取することで潜伏期間を類推し、あたりをつけられる)
・抗菌薬を使っているか(実際には感染していても検査では陰性になることがある)
これらを確認しながら検査をして確定していきます。
排尿痛は淋菌が強いです。熱した鉄の棒を突っ込まれるようだ、と表現する方がいました笑
クラミジアと経過が似ていて、排尿痛が強い場合はマイコプラズマを疑います。
アデノウイルスとヘルペスウイルスは排尿痛が強いです。ヘルペスウイルスは皮膚症状を起こすことで有名ですが、尿道炎の原因になることもあります。
排尿痛が強いときには淋菌・ウイルス・マイコプラズマを考えるということです。
潜伏期間は
淋菌 3−12日
非淋菌 7−19日
全尿道炎 5−16日
インフルエンザ菌 5−10日
アデノウイルス 5−12日
クラミジアとマイコプラズマは10日以上です。
淋菌とインフルエンザ菌は潜伏期間が短いです。短い潜伏期間と弱めの排尿痛のときにはインフルエンザ菌を考えます。
尿道から出てくる膿が黄色めの膿性なら淋菌を考えます。
外尿道口が真っ赤になっているときにはウイルス性を考えます。
アデノウイルスが91.9%で見つかったそうです。
アデノウイルスといえば結膜炎の原因ウイルスとして有名ですが、
結膜炎併発アデノウイルス尿道炎は全尿道炎の6%です。
尿道分泌物の顕微鏡検査
双球菌の貪食が見られるときは淋菌
多核双球菌の貪食が見られるとクラミジア
単核のときはアデノウイルス・ヘルペスウイルスのウイルス性を考えます。
尿中白血球が少ないときはヘルペス性を考えアシクロビルを使用します。
検査
淋菌・クラミジアの核酸増幅法PCR検査は90分、45分でわかるものが出てきています。
マイコプラズマ・ジェニタリウム検査のキットが作られています。
培養検査ではインフルエンザ菌・髄膜炎菌も検出できます。
トリコモナスのキットも2018年に作られたそうです。
PCRのキットがいくつかありますが、あるキットで偽陰性にクラミジアがいます。
治療
アデノウイルスは治療薬がありません。抗菌薬を使うと症状が悪化するそうですが、機序には触れられていませんでした。
2週間で症状はなくなりますが、アデノウイルスはまだ残っています。4週間でウイルスも消失します。
まとめは以上です。
尿道炎で、ウイルスやインフルエンザ菌などの細菌まで網羅して学ぶ機会は少ないのでとても勉強になりました。
もちろんまずは頻度の高いものを疑って調べることが重要なので、まずは淋菌、クラミジア・非淋非クラミジアを鑑別するところから始まります。
予防が大事なことは代わりありません。コンドームを使用して、安全にセックスを楽しみましょう!