EDの発症率は年齢が上がるごとに高まり、50代では多くの方がうまく勃起しなくなる傾向にあります。しかし、現在では多くのED治療法があるため、過度に心配する必要はありません。本記事では50代のEDの原因や発症率、主な治療法について詳しく解説します。
そもそもED(勃起不全)とは
EDとは、「Erectile Dysfunction(勃起機能の低下)」の略称であす。勃起しないケースだけでなく、十分な勃起状態を維持できないケースも含まれます。
EDの原因
EDには大きく分けて、以下の3種類があります。
- 器質性ED
- 心因性ED
- 混合性ED
3つのEDの原因と特徴について解説します。
器質性EDは臓器や器官に存在する異常によって、勃起に至らないもしくは途中で萎えてしまうタイプのEDです。例えば中高年以降の男性に多く見られる前立腺肥大症や前立腺がんを治療した際に、陰茎付近の神経や血管を損傷した結果、EDを発症するケースがあります。また交通事故により脊髄を損傷した結果、脳からの指令が陰茎にうまく伝わらず、EDを発症するケースもあります。
他にも飲酒や喫煙などの生活習慣、ストレスや加齢にともなうテストステロンの分泌量減少にともなってEDを発症するケースも少なくありません。つまり、血管障害や神経障害、内分泌機能の低下によって器質性EDが発症リスクを高まると言えます。
心因性EDは臓器や器官には問題がないものの、何らかの精神的なストレスや疾患により発症するタイプのEDです。うつ病や統合失調症などの精神疾患を発症している場合だけでなく、幼児期の性的体験によるトラウマや日常生活のストレスなどが原因となり、心因性EDを発症するケースもあります。
混合性EDは、器質性EDと心因性EDの両者が複合したタイプです。EDの原因は複数であるケースが多いため、50代の勃起不全の大半は混合性EDだと考えられます。
50代のEDの原因
EDは若い男性でも発症する可能性がありますが、特に50代の方の場合では以下の3つの原因で発症リスクが高くなると考えられます。
- 動脈硬化により血液が流れにくくなっているから
- 男性ホルモンの分泌量が低下しているから
- 心理的にストレスがあるから
50代の男性にEDを引き起こす可能性がある3つの原因について解説します。
➀動脈硬化により血液が流れにくくなっているから
50代の男性がEDを発症する原因には、まず動脈硬化によって血液が流れにくくなっていることが挙げられます。また血流が阻害されるとEDを発症しやすくなるメカニズムは、以下のとおりです。
- 性的な刺激を受ける
- 中枢神経が興奮し、脊髄を通して陰茎へと刺激情報が伝達される
- 一酸化窒素が放出され、陰茎の筋肉が緩んで海綿体に血が流れ込む
- 血圧が高まった結果、勃起が起こる
つまり、血液が陰茎へと急激に流れ込んで勃起が起こります。そのため、何らかの原因で血液の流れが阻害されると陰茎へと流れ込む血流量が減少して、勃起が起こらなくなるかもしくは勃起状態を持続することが難しくなります。
また、50代に急増する生活習慣病である高脂血症が原因となりやすいです。高脂血症を発症すると血管内に脂肪が付着するため、血液の通り道が狭くなります。
その結果、陰茎に送られる血液も減少してEDを引き起こしやすくなるのです。さらに高脂血症が悪化すると、動脈硬化も進行してしまいます。
➁男性ホルモンの分泌量が低下しているから
男性ホルモンの分泌量の低下も、50代の男性がEDを発症する原因に挙げられます。男性ホルモンの1種であるテストステロンには、骨格の強化や筋肉量の増加などをサポートする働きがあります。
またテストステロンには性的な衝動を起こす働きもあるため、分泌量が低下するとEDの発症リスクを高めます。しかし、テストステロンの分泌量は25歳前後にピークを迎え、その後は徐々に減少していきます。50歳になると、テストステロンの分泌量はピーク時のおよそ2分の1になると考えられています。
テストステロンの分泌量が減少する原因には、他にも睡眠不足や偏った食生活にともなう栄養不足、喫煙や飲酒の習慣、運動不足などさまざまな事由が挙げられます。そのためEDが気になる方は、普段の生活を見直してみましょう。
➂心理的にストレスがあるから
心理的なストレスも、50代の男性がEDを発症する原因のひとつです。50代の方が抱えやすい心理的ストレスには、以下のような例が挙げられます。
- 子どもの独立や結婚などに関わるストレス
- 親の介護にともなうストレス
- 仕事の役職が重くなるストレス
- 性交渉がうまくいかなかった経験によるストレス
- 人間関係のストレス
- パートナーとのすれ違いによるストレス
またストレスによるEDの発症メカニズムは、以下のとおりです。
- ストレスによって、自律神経のうち交感神経が優位になる
- 交感神経の働きによって血管が収縮する
- 血管の収縮にともない、血液の流れが悪くなる
- 血行不良により陰茎へと送られる血液の量が減少して、EDの発症リスクを高める
EDの原因となるストレスは、必ずしも性行為に直結するとは限りません。生活におけるストレスが自律神経のバランスを乱して血行不良を引き起こすことで、結果としてEDを発症するケースもあります。
50代の方のEDの割合
EDの発症割合は、年齢ごとに以下のようになっています。
年代 | 発症割合 |
---|---|
40歳未満 | 1~10% |
40代 | 2~15% |
50代 | 2~40% |
60代 | 20~40% |
70代以降 | 50~100% |
(参照:ED診療ガイドライン第3版)
50代のED発症割合は、各年代の中でもっともばらつきが大きい特徴があります。しかし、50代になるとEDに悩まされる方が急増するため、病院で治療する方も増える傾向にあります。
50代の方向けのED治療法
50代の方向けのED治療法には、主に以下の4つが挙げられます。
- ED治療薬を服用する
- 陰茎海綿体注射で治療する
- 陰圧ポンプで治療する
- 生活習慣を見直す
4つの治療法について詳しく解説します。
ED治療薬を服用する
50代の方向けのED治療法には、ED治療薬が有効です。代表的なED治療薬としては、バイアグラやレビトラ、シアリスなどがあります。特徴は以下のとおりです。
バイアグラ | レビトラ | シアリス | |
---|---|---|---|
容量 | 25mg・50mg | 10mg・20mg | 10mg・20mg |
効果が現れるまでの時間 | 1時間 | 45分 | 1~4時間 |
効果の持続時間 | 4~5時間(25mg・50mg) | 5時間(10mg)
8~10時間(20時間) |
20~24時間(10mg)
36時間(20mg) |
しかし、勃起するには服用するだけでなく性的な刺激を受ける必要があります。
陰茎海綿体注射で治療する
陰茎海綿体注射も50代のED治療法のひとつです。極めて細い針で陰茎に血管拡張作用のある薬剤を注入する治療法で、ED治療薬よりも即効性があります。またED治療薬とは異なり、性的な刺激がなくても勃起できます。
陰圧ポンプで治療する
陰圧ポンプによる治療法もあります。独自のポンプ内に挿入した陰茎の根元を締め付けながら、陰圧を加えて血行を促進します。性交渉が可能な程度の勃起が得られたらポンプから陰茎を抜き、根元が締め付けられているため勃起状態を維持することが可能です。
生活習慣を見直す
生活習慣を見直す方法も有効です。50代のEDは加齢だけでなく、睡眠不足や栄養不足、喫煙、飲酒、運動不足などさまざまな原因で起こります。そのためEDを改善するためには、生活習慣の見直しも欠かせません。
まとめ
50代のEDの発症割合は、2~40%と幅広いです。加齢だけでなく睡眠不足や栄養不足、喫煙、飲酒、運動不足などさまざまな原因によって発症リスクを高めるため、まずは専門医の診察を受けて原因を特定することが重要です。
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