ED(勃起不全)は30代・40代など、ミドルエイジの男性に見られるお悩みと思われている方も多いのですが、実際には20代という若い世代でもEDで悩まされている方は少なくありません。
しかし、若い方の場合は適切な治療を受けることで、早期の症状改善が期待できます。
本記事ではEDの3つの種類や原因、治療法について詳しく解説します。20代でEDにお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
EDの種類は3つに分けられる
EDは英語の「Erectile Dysfunction」を略称で、日本語にすると「勃起機能の低下」を意味します。日本性機能学会および日本泌尿器科学会が編集するED診療ガイドラインでは、EDについて以下のように定義しています。
『満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、維持できない状態が持続、または再発すること』
勃起しないケースはもちろんのこと、勃起するものの満足な性行為が行えない場合、もしくは性行為の途中で萎えてしまう場合もED(勃起不全)と判断されます。
EDは以下の3種類に分類されます。
- 心因性ED
- 器質性ED
- 薬剤性ED
3つのEDの種類について詳しく見ていきましょう。
心因性ED
20代の場合は、心因性EDにより勃起不全を引き起こすケースがほとんどだと考えられています。心因性EDは血管や神経などの障害が見当たらず、主に精神的な要素により勃起不全を引き起こす点が特徴です。しかし20代であっても、心因性ED以外のEDを発症する可能性はあるため、自己判断で決めつけることは避けましょう。
器質性ED
器質性EDとは、血管や神経に何らかの障害を起こすことで勃起不全に至る点が特徴です。器質性EDをもたらす疾患としては、糖尿病や高血圧症、脂質異常症、虚血性心疾患、脳出血後遺症などが挙げられます。これらの疾患がない方であっても、年齢を重ねるごとに生理機能が低下し、器質性EDを発症する可能性もあります。
また勃起不全に悩まされている方の中には、心因性EDと器質性EDを併発しているケース(混合性EDとも呼ばれます)があるため、まずは専門の医療機関でEDの原因を突き止めることが重要です。
薬剤性ED
薬剤性EDはその名の通り、何らかの医薬品を服用することで勃起不全を引き起こす症状です。勃起不全を引き起こす薬剤としては、AGA(男性型脱毛症)の治療薬が広く知られています。
AGA治療に用いられるフィナステリド内服薬やデュタステリド内服薬は可能性は低いのですが性機能を低下させる副作用があります。また抗うつ薬や向精神薬、睡眠導入剤などを服用している場合、20代であっても薬剤性EDの発症リスクが高くなるため注意が必要です。
20代のEDの具体例
20代の勃起不全は、主に心因性EDによって引き起こされると考えられています。心因性EDを引き起こす具体例としては、以下の3点が挙げられます。
- 仕事や生活のストレスが蓄積している
- 性行為の経験が少なく緊張してしまう
- 過去の失敗など性行為にトラウマがある
3つの例について詳しく解説します。
仕事や生活のストレスが蓄積している
20代で心因性EDを発症する場合、仕事や生活にともなうストレスの蓄積により、自律神経のバランスを乱している可能性が考えられます。自律神経は交感神経と副交感神経から構成されていますが、ストレスによって自律神経のバランスが乱された場合、交感神経が優位に傾きます。
交感神経には血管を収縮させて血流量を低下させる作用がありますが、海綿体へと送られる血流量が減少すると勃起が妨げられてしまうのです。
性行為の経験が少なく緊張してしまう
性行為の経験が少なく緊張してしまうことも、20代のEDを引き起こす原因のひとつです。性行為を開始する年齢は人によってさまざまですが、20代になって初めて性行為に臨む方もいらっしゃるでしょう。性行為の経験が少ない男性の場合、避妊具(コンドーム)の装着に手間取ったり、手順が分からなかったりするため、精神的な緊張状態に陥ることが少なくありません。
実は、勃起するためにはリラックス状態(副交感神経優位状態)である必要があります。性的に興奮すると交感神経が優位(興奮状態)になりそうなイメージがあるのですが、副交感神経が優位に傾き、血流量が増加しないと勃起につながらないのです。
そのため、性行為の際に緊張したり焦ったりすると、交感神経が優位に傾いて勃起しにくくなってしまうのです。
過去の失敗など性行為にトラウマがある
過去の失敗など性行為にトラウマがある場合にも、20代のEDを引き起こしやすくなります。とくに初回の性行為がスムーズに行われれば問題ないのですが、最初にうまくいかなかった場合、2回目以降もズルズルと失敗を引きずってしまうケースが少なくありません。
また性行為の経験が少ないときに、勃起はしたもののすぐに射精するなどした場合、「次回こそは」と自分にプレッシャーをかけ過ぎてしまい、かえって勃起不全のリスクを高めるケースがあります。
20代のEDの治療法
20代でもさまざまな理由でEDを発症するリスクがありますが、若い方の場合は身体が健康であるケースも多いため、適切な治療によって症状の早期改善が期待できます。20代の主なED治療法は以下の3つです。
- ED内服薬の服用
- ストレスの解消
- 心理療法
3つの治療法について解説します。
ED内服薬の服用
20代のED治療法のひとつが、ED内服薬の服用です。ED内服薬としてはバイアグラが知られていますが、その他にもレビトラやシアリスといった治療薬があります。
バイアグラは服用してから効果が現れるまでの時間が短いため、性行為の1時間前に服用するのが基本です。また満腹時に服用した場合、有効成分が体内に吸収されるまでに時間が掛かるため、十分な作用を得られない可能性があります。
シアリスは作用の持続時間が20~30時間と長く(レビトラは~8時間程度)、食事のタイミングを気にしなくて良い点がメリットです。ED内服薬の副作用としては、頭痛や胸焼けなどがありますが、発症頻度はいずれもそれほど高くありません。
ED内服薬は基本的に水で服用しますが、清涼飲料水やお茶で服用しても効果に変わりはありません。ただし、グレープフルーツジュースで服用した場合、薬の作用が強く出すぎたり、副作用のリスクを高めたりするおそれがあるため注意が必要です。
ストレスの解消
ストレスの解消も、20代のEDの改善につながります。ストレスが蓄積すると血行不良を招くだけでなく、男性ホルモンの一種であるテストステロンの分泌を低下させ、結果として勃起不全を引き起こすリスクが高くなります。
ストレスの発散法は人によってさまざまであるため、自分に合ったストレス発散法を行うようにしましょう。ストレスを発散してもEDが改善しない場合、器質性EDの可能性も疑われるため医療機関を受診することがおすすめです。
心理療法
心理療法も20代のED治療法のひとつです。20代のEDの多くは心理的要因により引き起こされるため、心理療法で根本から原因を取り除くことが必要となる場合もあります。
とくにうつ病などを患っている場合には、ED治療に先立って心理療法が必要とされる場合も少なくありません。治療薬の服用と平行して心理療法を取り入れることで、効率的にEDを改善することが期待できます。
まとめ
20代のEDの原因はさまざまですが、多くは心理的な要因で引き起こされると考えられます。そのため、日頃からストレスを発散し、血行不良に陥らないよう意識することが重要です。
心因性EDが疑われる場合には、ED治療薬の服用や心理療法を行うのが効果的です。まずはEDの原因を特定し、自分に合った治療を受けることが求められます。
銀座銀クリニックではED治療薬の処方はもちろんのこと、薬が効きにくい症例にも陰茎海綿体注射などで対応しています。20代でEDに悩みの方は、ぜひ当院までご相談ください。